実録!衆院選挙に立候補したときのお話 | 日記
平成24年12月4日(火) -公示日当日-


朝7時前、さみしい事務所に到着。

さっそく、机一脚といすを並べる。
机の上に文具を並べ、トイレに石鹸とトイレットペーパーを置く。

ゴミ袋を設置したとき、
初めてお会いするスタッフ第一号が到着。

一目で元同僚の弟さんの ”Hくん”と分かった。
その弟さんしか来ることになっていなかったからだ。

「これから、区役所に行ってくるので、
 とりあえず、留守番をお願いします。
 何もやることがなくて、かえってつらいかもしれませんが、
 それも仕事なので。
 どうしても、暇でしょうがなくなったら、
 カギを閉めてコンビニで雑誌とか買って時間をつぶしてください。
 近くにコンビニがあるんで。
 一時間くらいしたら戻ってきます。」

と、言い残して区役所に向かった。

途中、心配そうな表情をした ”Sさん”が向かってきた。

  えっ?もう東北から東京に来てくださったの?

前日から東京に入ってくださったらしい。

『今、事務所に誰かいるの?』

「あっ、おはようございます。
 ご無沙汰してます。
 今日は、ありがとうございます。
 今、”Hくん”がいます。」

間もなく、区役所で、ポスターを貼る場所を決める抽選が始まる。
そこで、急いでいた私は、挨拶そこそこ、
必要なことばを並べるのが精いっぱいだった。


締め切り時間の5分前、区の選挙管理委員会に到着。
板橋区からは、維新の会のほかに、
民主党、自民党、未来の党、そして共産党からも立候補者がいた。
が、候補者本人が来ていたのは、私だけだった。

しかも、そこにいた他の各候補者のスタッフも一人ではなかった。

くじ引きの順番を決めるくじは1番だったが、
1番に引いたくじは3番だった。
これによって、掲示板のポスターを貼る場所や書類の届出の順番が決まる。

くじ引きの後、先日、都庁でチェックしてもらった書類を
ここ板橋区の選挙管理委員会に正式に提出した。

職員の方から
『チラシの証紙とかはいいんですか?』
と聞かれ、
「後日でもいいんですよね。」
とこたえておいた。

証紙をもらうための書類の書き方がよく分からなかったが、
公示日当日に提出する必要がないことだけは把握していた。
というか、チラシはまだできていなかった。

その後、選挙の七つ道具といわれているものをいただく。
その中には、事務所に掲げる立て板看板も二枚あった。
道具の数が足りなくても、この部屋から出たら請求できないといわれた。
それは、選挙運動が制約されることを意味する。

他の候補者のスタッフは、
いそいで、手分けして数量などを確認していた。
が、私にとっては、初めて目にするものばかり。
それぞれ、何に使うのかを職員の方にうかがうことから始めた。


大阪の党本部からは、
番号が決定次第、至急、FAXするよう言われていた。
だから、区役所から出るやいなや、コンビニに直行した。
が、三~四度試しても、FAXが通じない。
電話で党本部に確認すると、FAXが一台しかないので、
時間をおいてから送信してください、と言われた。

  ……

事務所に戻る道すがら、コンビニを見かけるたびに
送信を試みるも、まったく通じる気配がない。

最近、ろくに食事もとっていなかったので、
お腹も減ってきた。
喫茶店の入口にあったモーニングの写真にそそられ、
思わず入ってしまった。
事務所に掲げる立て板看板を気にしながら、モーニングをほおばる。

  おいしい

他の候補者は、おそらく選挙運動をはじめているころだった。が、
はやくFAXをしなければ…

事務所には、まだ、
FAX機能つきの電話が秋葉原から届いていなかった。
だから、コンビニに寄るしかなかった。
しかし、さらに5~6度送信を試みても、やはり通じない。

  こんなことを続けていたら選挙活動ができない。

FAX送信はあきらめ、事務所に戻ることにした。

事務所に戻ると、スタッフ用のジャンパーが届いていた。
”甲先生”からだった。
ずっと、必要、必要と頭の中にはあったが、
おそろいのものを一度に買うことができるのかと思い、後回しにしていた。
だから、非常にありがたかった。
ちなみに、無償ではない。

字のお上手な ”Sさん”に
区の選挙管理委員会からもらった立て板看板や運動員用の腕章、
そして演説中に掲げる旗に名前を書いていただき、
看板は事務所の外に立てかけた。

と、そこへ、知人の弁護士事務所に勤める ”Mさん”が来てくれた。

  さて、選挙運動といっても、何をしよう?
  選挙カーはまだステッカーとか貼っていないし、
  ”Mさん”も ”Hくん”も運転できない。
  運転できる”Kさん”はまだ到着していない。

とりあえず、届いたばかりのジャンパーを着て
”Mさん”と ”Hくん”と三人で、
事務所の外で大声をはりあげながら、挨拶をすることにした。
拡声器を使わないので、近くの病院に迷惑はかからないはず。

事務所の場所は川越街道沿いで、目の前で車はしきりに走っている。
現閣僚候補の選挙カーも目の前を走っていった。
通行人も比較的多い。
こちらから動かずとも、車も人もむこうからやって来てくれる。
悪くない方法だと、このときは思っていた。

「よろしくお願いします。」

と、ジャンパーの送り主である ”甲先生”にのんきに挨拶してしまった。

表情が険しかった。
  
  何をやっているんだ!

選挙カーを動かそうにも、
運転できるスタッフが到着していないことを告げると、
近くの ”ハッピーロード大山”そして、”遊座大山商店街”
という商店街を練り歩くことに。

そのためには、拡声器が必要だった。
昨日、東京本部から拝借したものを取りに
結局、コインパーキングにとめてあるご本人の車へ。

今度は、険しい表情ではなく、あきれた表情に。

  拡声器とマイクに電池が入っていない…

このとき初めて、拡声器に10本の単一電池が必要であることを知る。
大至急、”Hくん”に買ってきてもらう。

表情はイライラしたものに変わっていく。

ようやく、”Hくん”が到着。
今朝もらった七つ道具のうちの一つの小札を拡声器につけ、商店街へ。
その道すがら、有権者に握手をするコツを教えていただいた。

商店街に到着し、初めてのご挨拶。
”甲先生”がマイクで、維新の会の主張や私の紹介をしてくださる。
私は、商店街の通行人の方々に握手を求める。

なるべく、老若男女を問わず、求めるようにした。
強面の男性には、体育会ののりで挨拶するとウケがいい。
ほとんどの若い女性は、近寄るなオーラを出している。
両手をポケットに入れていたり、
両手に買い物袋を持っていてくれると分かりやすくて、助かる。

握手してくれた方と、拒絶された方とは半々くらいか。
一番気さくに握手してくださったのは、
性別に関係なく、私の人生の先輩の方々だった。


大山駅の近くで、”甲先生”が、ふと立ち止まった。
私がここで演説をはじめる
と、突然おっしゃりはじめた。

生まれてはじめての演説。
自分は、演説もしたくて立候補したわけだから、
緊張感とワクワク感とが入り混じっていた。

聴いてくれる人がいない演説はもっとつらいものかと想像していたが、
そうでもなかった。


商店街の行進が終わり、事務所に戻ると、
旧友の奥さん ”Kさん”が到着していた。

これで選挙カーを動かせる。
といっても、この時点では、
屋根にメガホンがついただけのふつうのワゴン車だった。

が、とりあえず
”Kさん”の運転で、いざ、区民のみなさんにアピール。
といっても、”Kさん”にとって板橋区はまったく見知らぬ土地。
カーナビ頼みなので、自然と走るところは幹線道路ばかりになる。

最初のうちは、ウグイス嬢もいないので、
”甲先生”がマイクで叫び、見本を示してくださる。
私は、窓から身をのり出して、大声をあげながら手をふる。
はじめは恥ずかしくてできないだろうと思いきや、
すんなりできた。

このとき、手をふるなどして応えてくれる通行人の方はほとんどいない。
それもそのはず、外見はふつうのワゴン車なのだから、
そもそも選挙カーだと自信をもって思うことができる人は少なかったと思う。

数年前、宮本警部が勇気ある行動で市民の命を救い、自らは殉職された場所、
ときわ台駅に到着すると、”甲先生”は他の候補者の応援に、
と車を降りられた。

ここからは、素人だけで車を動かす。
そして、私がウグイス嬢役。

とりあえず、高島平団地へ。
板橋区で人が多そうな場所は、ここしか知らなかった。
二十年ほど前、5キロの周回コースを四周する
20キロのロードレースに出場した場所だが、
感慨にふけっている余裕はなかった。

コンビニで小休止。
今朝、喫茶店で食べたモーニング以来の食事。
といっても、あんまん一個に”Kさん”差入れの栄養ドリンク。

この間に、選挙公報の原稿を印刷業者に取りに行ってくださっている
”Sさん”に現状を確認。
区の選挙管理委員会から、本日中に提出しないと、新聞に載らなくなる
と催促の連絡があったからである。
でも、”Sさん”のおかげで、何とかギリギリ間に合いそうだ。

再び、車を走らせる。
ここで、大阪の党本部からFAXはまだか、
との問い合わせが入る。
今朝、何度も試みたが通じなかったと理由を説明し、
とりあえず3番だったと告げて、いそいで携帯を切る。


夕方6時すぎ、いったん事務所に戻ることに。
正直、事務所には戻りたくなかった。

とても十分に選挙活動ができる体制にはない
という現実に引き戻されるからだ。
選挙参謀なんていう人はいないので、
私が留守中にあったことは、すべて私に報告が上がり、
疲労しきった頭で、その場で判断しなければならなかったからだ。

マスコミから、まだアンケートをいただいていないとの連絡。
  そんな時間はない…

別のマスコミからは、今後の演説の場所や日時を教えてほしいとの連絡。
  そんなの決められるわけない…

党本部からは、投票日当日の開票を見届けてくれる板橋区民を決めておくようにとの連絡。
  選挙管理委員会に問い合わせたら必須ではないといわれたと、党本部に連絡…

郵便局からは、持ち込み予定の選挙ハガキの枚数や日にちを教えてほしいとの連絡。
  ハガキを出すための名簿もないし、
  郵便局が想定しているような枚数なんか出せるわけない。
  よって、とりあえず無視…

秋葉原から、まだ電話・FAX機が届いてない。
  怒るしかない…

机がもう一脚きたけど、いすも机も足りそうもないので、追加注文をしてほしい。
  その場で、携帯で追加注文…

TBSからは、当選した場合の ”朝ズバッ!”の出演依頼が。
  ……

そして、一番まずかったのは、区の選挙管理委員会からの連絡。

『メガホンしか装着していないので、警察に届け出なかったのかもしれないが、
 それでも早く警察に届け出てくれ、
 それに、選挙カーには、今朝渡した小旗をつけれくれ。』

との連絡があったとのこと。

  なんで、メガホンしか装備していないといったことまでの通報が?
  それに小旗はつけていた…

もう、戦争が始まっていた。

”Mさん”が行政書士だったので、届出は彼にお願いした。
ただ、ステッカーは、これから夜8時すぎに
”府議の先生”のお知り合いである業者の方が
大阪からわざわざいらして装着してくださることになっていた。
よって、届出はそれからでないとできなかった。

この十日ほど寝不足状態だったので10分ほど居眠り。

前日の公開討論会で、一番幸せと感じる時は、という質問で、
ある候補者が、事務所に戻って一息つけるとき、
と答えていたが、とても信じられない。

ちなみに、私の答えは、
お風呂の湯ぶねにつかる瞬間と床に入った瞬間である。


軽い眠りから覚めたあと、
印刷業者の社長さんに依頼していたほうのタスキが届いていたので、
それを着けて、最寄りの大山駅で帰宅する有権者に一時間余りご挨拶。

夜8時過ぎ、本日は解散した。

ただ、私は、大阪から来られる業者さんから、
『海老名で渋滞にあったので、一時間ほど遅れる。』
という連絡が入っていたので、その場で待機。

そして、夜9時過ぎ、業者さんが到着。
コインパーキングにとめてあったワゴン車を
なるべく街灯のあたる場所に移動して、作業をしていただく。
作業に数時間かかるといわれたので、私は帰宅した。

その数時間後、選挙カーに変わった写真が送信されてきた。
さすがは、プロの方、
大阪から到着された直後にかかわらず、きれいに仕上げてくださった。

自宅で、お礼のメールを打って、就寝。


明日の朝は、十日ぶりにゆっくりできる。



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