2017.02.25(Sat):両親の思い出

私は東京の下町にある
団地で暮らしている。

十六年前に亡くなった母は、
お茶を飲みながら、
よく外を見つめていた。

ただ、見つめる先には
向いの団地があるだけで、
他に何か変わったものが
見えているわけでなかった。

なぜ、
向かいの団地を見つめているのか
母にきいたことはなかった。

さて、先日、
『君の名は。』が劇場公開中
というテレビCMが流れていた。

半年も経つのに、
いまだ公開されているということは
よほどおもしろいのだろうと思い、
まんまとCMにのせられ、
今さらながら観に行ってみた。

私が小学生のときに観た
『小さな恋のメロディ』が思い出された。

メロディとダニエルの
ただ、二人でいたい、
という純粋な感情、
三葉と瀧の
ただ、会いたい
という一途な想い、
恋愛の原点をみた思いがした。

映画を観終えると、
私は、錦糸公園のベンチで、
パンをほおばりながら
缶コーヒーを飲んでいた。

かつて、刑事裁判の起訴状で
違法薬物売買の場所として
たびたび読み上げられたこの公園も、
半年前は、ポケモンGOでにぎわい、
今は、子どもがはしゃいだり、
女子高生がマネキンチャレンジをしたりと
非常にのどかであった。

そんなふうに思いながら、
ふと見上げると、
スカイツリーがそびえていた。

その瞬間、はっとした。

母は、
向かいの団地ではなく、
亡くなって数年後
その後ろに見えることになる
スカイツリーを見ていたのかもしれないと。


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