FC2ブログ

“宮もあさまかりしをおぼし出づる”

私は現在、東京大学の教養課程で
『源氏物語』の授業を受けています。

それまでは受験勉強や試験の一環で
問題文の一つとして
読んだことはあるのですが、
きちんと読んだことはありませんでした。

いろいろな女性と関係をもった
エロ貴公子の話など読むに値しないと
勝手に思い込んでいたのですが、
読まず嫌いはいけないと
授業を受けてみたのです。

果たして、受講して正解でした。

授業では『若紫』という巻の
さらに一部しか扱わないのですが
登場人物の人がらなどが見事に
表現されていておもしろいのです。

源氏が僧坊をのぞき見した際に
見かけた少女のことが気になって、
ともにのぞき見していた従者に、
その少女のことを聞こうとするも
ストレートにはきけず、
外堀から遠まわしに尋ねていく様子も
なんとなく微笑ましいです。

ことば選びも秀逸で、
継母でもある皇后“宮”との密通も
冒頭にあるように“あさましかりし”と
表現されています。

そう、残念ながら(?)
密通の場面は直接表現されておらず、
冒頭の一文にあるように
示唆されいるだけです。
そんなことさえ、
私は知らなかったのです。

また、その“あさまかりし”の
注釈部分もおかしくて
『最後の一線を越えて…』
とも書かれています。

授業のテキストである文庫本は、
元アイドルの某参議院議員と
某元市議との不倫疑惑が
報じられる以前に
執筆されたものですから、
もちろん、表現の仕方が
たまたま一致しただけですが…

それにしても
“あさまかりし”という表現は、
言い得て妙です。

この言葉は、
意外なことに驚いた際に使われるのですが
この一言だけで、
宮にとっては、源氏との密通が
予想外のことであったことが分かります。

伏線もところどころに張られており、
ネタばれしていない状態で読んでいた
当時の人たちは、
さぞかしワクワクしながら
この物語を読んでいたことでしょう。

前述のような
私が抱いていたイメージからか、
戦前『源氏物語』は不健全とされ
公演も中止にさせられたらしいのですが、
それでも、
その人間描写がすばらしいということで、
なんと、
小学校の教科書に載っていたのです!

ただ、当時の時代背景と
読み手が小学生だったことからか、
源氏の視点がごっそり抜けていて、
この物語が台無しになってしまった
そんな気がします。

みなさんも、お時間があったら
『源氏物語』を読んでみては
いかがでしょうか。

源氏物語2
スポンサーサイト

Tag:
| TrackBack:0
TrackBackURL
→http://inoino700.blog.fc2.com/tb.php/619-4f1afd30