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2018.03.01(Thu):憲法・法律問題

昨夜、安倍首相が、
働き方改革関連法案から
裁量労働制の拡大を切り離す方針を
表明した。

原因は、もちろん、
労働時間の実態調査データが
まったくいい加減だったということ。

これに関し、某テレビ番組で
『重要なのは法案の中身であって
 データは本質的な問題ではない』
との弁護士のコメントがあった。

これには唖然とした。

なぜかというと、
“立法事実”というものを
まったく加味していない
コメントだったからである。

“立法事実”とは、
法律の合理性や正当性を根拠づける
社会的・経済的・文化的事実のことをいう。

この“立法事実”が認められないと
法令違憲となることがあり、
実際、薬事法違憲判決といった
有名な最高裁判例もある。

“立法事実”という概念は、
元々は20世紀初頭の米国における
女性の労働保護立法の合憲性を
訴えるために使われた手法が
起源とされている。

ただし、これは、
合憲性を裏付けるための
法律の趣旨を根拠づける事実だった点、
合憲性を裏付けるような
法律の目的と手段との関連性を示す
事実がなかったため違憲と判断された
上の最高裁判決とは視点を異にする。

労働時間にかかわらず
残業代が一定額とされる裁量労働制も
『定額、働き放題』と揶揄されるように
事実上時給が最低賃金を下回るといった
労働基準法違反となる事例が
多く認められれば、
“立法事実”の存在も疑わしくなる。

そして、まさに、この労働基準法こそ、
憲法27条2項の趣旨を現実化した
法律の一つなのだ。

たしかに、労使の合意や
労働基準監督署長への届出といった
法律適用の適正化を担保するような
措置規定もあるので、
従来の裁量労働制が法令違憲となる
ことはないであろう。

しかし、上でも述べたように
労働基準法違反となる事例が
多く認められれば、
“立法事実”の存在も疑わしくなる。

裁量労働制が違憲となるような多くの事例
つまり
27条2項に反する多くの事例を導くような
ざる法なのか否かを判断する上でも、
労働時間の実態調査データは重要なのだ。

野党議員らが、ここまで意識して
裁量労働制を拡大する法案の提出に
反対していたかどうか分からないが…

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