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2013.05.19(Sun):両親の思い出
あの日も、昨日のように晴れて、
暑い感じがした日だった。

昨日は、母の命日である。

いつものように駅近くの花屋で、
予約していた花束を購入。
お盆とかお彼岸とかの季節ではないので、
その場で注文すると、時間がかかることを
数年前の経験で知っていたからだ。

母方の祖父母のお墓の分も購入するので、
両手いっぱい花束をもつ。
お祝い用の花束をいっぱいに持つ光景はよく見かけるが、
墓前に供える花束をこんなにもっているやつは、
自分しか知らない。

バスに揺られて10分以上、お寺さんに到着。

いつものようにお寺さんの事務所にご挨拶をして、
お線香を購入。

墓地に出る。

さみしい。

シーズンなら、お参りする方々がいて、
お墓も色とりどりのお花で飾られ、
華やかで、賑やかだ。
墓地の中の小さな原っぱで、
お弁当を広げながら、
“お花見だね”
といいながら、くつろぐご家族を見かけたこともある。

が、昨日の墓地は、人っ子一人いない。
枯れた花が並んでいるだけ。

まずは、母方の祖父母の墓に。

なぜか枯れた花が一輪、お墓に横たわっている。
その周りには、生命力あふれる雑草が
青々と生い茂っていた。
祖父母の魂が宿っているかもしれないのに、
私は、そのいっぱいの雑草を引っこ抜くことから始めた。

祖父母の墓は、いつも汚れている。
春分の日から二ヶ月も経っていないのに尋常でない。
水をかけてブラシでこするだけだが、
なぜかいつも三十分かかる。

部屋の掃除をしていて、
祖父母が代わる代わるゼロ歳児の私を抱っこしている
白黒写真を見つけたことがあった。
初孫だから、よほど可愛かったのだろう。

そのお礼を込めて、ブラシでなでる。


次は、両親、そして猪野家のご先祖さまが眠るお墓に。
江戸末期からのご先祖さまが眠っていらっしゃるので、
なんか、重い、といったら語弊があるが、
墓前に立つと、なんか迫ってくる感じがした。

お墓を建てたばかりのときは、
まったくブラシをかける必要がないほどきれいだったが、
それでも年々汚れてくる。

母の戒名の碑銘もきれいなはずだったが、
横に寄りそうまっ白な父のそれと比べると、
汚れてきているのに改めて気がつく。
まっ白にならないはずなのに、
一応、ブラッシングしておく。

そして、合掌。

落ちる夕陽が木々の後ろに隠れたとき、
現世に戻ってきた感じがした。


帰りの電車、なんとか座れた。
隣に座った二十歳前後と思しきお嬢さんが、
いつの間にかウトウトし始め、
その頭を私の右肩にそっとのっける。

これが、おっさんの頭だったら
不快な気持ちになるのだが、
そこは私も男、
二十年以上前の思い出にふけりながら、
新宿駅に着くまでそのままにしておいた。

ご先祖さまからのお礼か…

あっという間だった。
新宿駅に到着すると、
周りの乗客から見るとその恋人たち、
いや、その親子は、
なぜか黙って、お互い離れ離れになり、
週末の新宿の雑踏の中に消えていった。


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