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特に消費税増税を意識したわけではなかった。
たまたま髪の毛が伸びたから
その散髪屋に行こうと思った。

「平日のお昼だったらすいているだろう」
そう思って行ってみたら
4人もの男性客が待っていた。

私は待つことにした。

その後も何人ものお客が訪れて来るが
4~5人の待ち人を見て引き返す。


この散髪屋には十年以上通っている。

ここ下町には高齢者が多い。
だから、この散髪屋のお客も高齢者が多い。
特に平日は。

一人のお客の散髪が終わった。
すると、
『お金持ってこなかったよ』
という信じられないことばが聞こえてきた。

しかし、もっと信じられないことばが
店主さんの口から自然とでてきた。

『いいわよ、今度、倍払ってくれれば』

このお店は常連客でいっぱいだ。


数か月前に置いていただくようお願いした
私の本が一番すみっこにあった。
私はそれを読むふりをしてから、
すぐに目立つ場所に置きなおした。

私の眼の前に座っていた一人の男性客が
順番が来てソファーから立ち上がった。

そして、その開いたスペースに、
隣で待っていたもう一人の男性客が
頭をおもむろに下ろしはじめた。

別に具合が悪くなったわけではないようだ。


私の順番がきた。

隣で髪を切ってもらっているお客が、
散髪が終わりかけたとき
『髪を染めてくれ』
と急につぶやきだした。

店主さんが
『なんで、もっと早く言ってくれなかったの』
と聞くと、
『だって、聞いてくれなかったでしょ』

『色は黒にします?』

『まっ黒っていうのもいやだな』

しかし、そのお客は結局、
はっきりと染めてもらいたい色をいわなかった。

それでも、店主さんは準備を始めた。


私の散髪が終わった。

聞くと4月以降も値段は据え置きらしい。
わけを店主さんにうかがうと

『年金が減るお年寄りから、
 これ以上とれないでしょ』

と小声で言った。


この散髪屋は、
今日も常連客でいっぱいである。



【More...】

売上高のことを考えれば、
消費税をとらない散髪屋は多いかもしれません。


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